スクリーンの向こう側 〜影絵操作の舞台裏〜

先日ご紹介したインドネシアの伝統芸能「ワヤン・クリ」には、長い時間の間に蓄積された様々な知恵・技術が盛り込まれています。

当劇団で「ワヤン・クリ」のどんなところを参考にしているかは既に公開されている記事「横浜ボートシアターの影絵の源流」をご参照いただくこととして、本日は横浜ボートシアターの影絵セットの裏側を語り・人形操作の吉岡紗矢がご紹介!


影絵セット全体図

人形や仕掛け、スイッチ類は手の届く範囲にまとまっています。
スクリーンは60号のキャンバス(130×97)の枠を使っていて、端まで人形が届く大きさです。今後もう少し大きなスクリーンにしたいと遠藤は言っていますが、今は持ち運びにも、部屋の中での稽古にも便利な大きさです。
ライトは頭の上にあります。インドネシアの伝統影絵ワヤン・クリはかつて頭上で椰子油のランプを焚いていました。本物の火は揺らめいてとても美しく憧れますが、熱そう…とても真似はできません。

『極楽金魚』に、スクリーン全体が青くなる場面があります。

この場面の裏はこんな感じ。ライトの前に青いシートを引っ掛けています。
引っ掛けは二つあって、もう一つは『月夜のけだもの』で使います。

スクリーン裏で青シートを引っ掛けている図

『極楽金魚』にはまた炎の場面があります。

炎の人形の裏には赤いライトが仕込まれています。音楽の松本の手作りです。一時期熱心に技術を学んで、他にもいろんな明かりを仕込んでくれました。

人形を刺している台

人形はこんな風に刺して立てています。
インドネシアではバナナの幹を寝かせて刺すそうですが、こちらは発泡スチロールの上にゴザを貼った物を考案しました。バナナが生えている土地だったらバナナの幹は簡単に取り替えられて便利でしょうね。
「さらばアメリカ!」の舞台監督をお願いしている三津さんがつい先日、木の箱の中にダンボールを切って縦にぎっしり詰めるとどこでも刺し放題でいいよ〜」と教えて下さいました。ワヤン・クリの来日公演の際考案し、インドネシア人にも大好評で「国に帰ってからもこのやり方でやる!」と言われたそうです。本場の方のお墨付き、今回は時間がなくて試せませんでしたが、追い追い試したいと思います。

影絵の舞台裏、ほんの一部しかご紹介できませんでしたが、他にもまだまだたくさん工夫があります。いつも終演後にはお客さんに舞台裏の仕掛けを説明し見学していただいています。ご興味のある方は是非会場で直接ご覧下さい。お越しをお待ちしております!

本文:吉岡紗矢


公演は3月24日(土)〜25日(日)の二日間。会場は今春閉鎖が決定している横浜「自在」南軽井沢稲葉邸。

情緒ある日本間での影絵をぜひご堪能ください。

◆創作影絵人形芝居「月夜のけだもの」「極楽金魚」公演詳細ページ

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