遠藤啄郎 舞台作品処女作にして、様々な形で上演され続けてきた名作『極楽金魚』が 新たな影絵芝居として再生!

創作影絵人形芝居 極楽金魚

この作品は、四国高松で今も売られている可憐な郷土人形「奉公さん」の由来話をもとに、 今から50年ほど前、遠藤啄郎によってラジオドラマとして書かれ放送されました。その後、演劇、人形劇、日舞、説経節にもなり、また児童文学書としても出版された名作です。

なかでも、舞台作品は、日本各地だけでなく、フランス、スイス、イタリア各地で上演が行 われました。1967年、代々木小劇場において、人と人形の劇「極楽金魚」を作・演出後、1975年にはフランスのナンシー演劇祭、アヴィニオン演劇祭、パリのテアトル・ド・オルセイなど 3ヶ月半にわたりヨーロッパを巡演。高い評価を受け、パリでは1ヶ月間におよぶロングラン公演が行われたのです。日本の演劇がヨーロッパに渡ってこれだけ長期的な公演を行ったのは戦後の演劇史にとって画期的な成功例といえるでしょう。

これが、当初放送作家・脚本家として出発した遠藤啄郎としての実質的な演出家デビュー作となりました。東京芸大油絵科を出た遠藤にとって、最初から演劇の関心は新劇などで主流のリアリズムの中にはなく、ビジュアルや身体、言葉、物語、音…などの要素を時空間の中でどう構築し、練り上げていくかにありました。処女作には、のちに創作される作品のほとんどの 要素が含まれていると言われますが、遠藤啄郎にとってもまた、この作品には<遠藤作品の原点>があるといえるでしょう。

いかにも四国に伝えられてきた民話に思える創作寓話は、貧しい娘おさき、娘を買い受けた長者、難病に臥す長男、回復のためには娘を生け贄にすることを進言する山の巫女を軸に、最後は娘が憧れていた黄金の金魚「頂天眼」になって昇天する村里の悲劇をドラマティックに描き出します。そこには、私たち<日本人の哀しみの原質>にふれるような感動があり、長年にわたりさまざまな手法で繰り返し読み、描かれ、演じられてきた理由と普遍性があります。

創作影絵人形芝居 極楽金魚

光と影の中にいのちがゆらぎ、哀しみを照らし出す創作影絵芝居「極楽金魚」の誕生

2012年、遠藤啄郎と横浜ボートシアターは、「極楽金魚」を影絵人形芝居として新たに創作し ました。

90cm×130cm のスクリーン上で繊細に操作される素朴な皮製の人形、その光と影が織り成す世界に、物語を凝縮させます。

影絵人形を操り演じ、語るのはたった一人の女優で、劇団の中軸役者である吉岡紗矢。 語り手であると同時に、各登場人物の情動をみごとに演じ分け、貧しくも純粋な村娘おさきの数奇な運命を悲しくも美しい死と再生の物語へ昇華。繊細かつダイナミックな影絵人形遣いと言い回しで観る者を惹き付けます。

影絵人形芝居はトルコを始め、インド、中国、東南アジアなどアジア全域に広く存在する演劇のスタイルで、この作品は中でもインドネシアの「ワヤン・クリ」と呼ばれるものに影響を受け、一人の演者が語りながら同時に人形を操作しています。

今回、影絵のデザインは、東京芸大を卒業して活躍する若手美術家・竹内英梨奈が現地で影絵人形を彫る際に使う道具を特別に入手し製作。影絵人形独特の線刻の陰影やデフォルメ、朱色 の金魚の色彩など、民話にふさわしいビジュアルアートを創造しました。

また、現在、劇団の座付き音楽家としても説経「愛護の若」より『恋に狂ひて』はじめ、目覚ましい活躍をみせる若手音楽家の松本利洋が作曲と演奏を担当。役者との阿吽の呼吸と変幻自 在なエレクトリック・ギターの演奏で、影絵の世界をよりアクティブに、想像の地平を拡げる音世界をつむぎ出している。

最小の演者、演奏者が遣い、語り、奏でる、ふかく豊かな日本人の深層世界。アジアの伝統演劇がもつその魔術的ともいえる手法を生かした舞台は、馬や金魚、巫女の呪術、憑き物イズナ、 生け贄、甦りのシーン…など、リアリズム演劇では到底実現できない登場人物のうごきや芝居を可能にし、無限=夢幻の想像力を喚起する。

ラスト、朝焼けの海の上で、おさきは船もろともに焼かれ、その炎の中、おさきは金魚となり、 首なし馬とともに金の雨、氷の鱗を降らせながら天へ昇っていく壮絶なシーンは、無垢の少女 ゆえ犠牲となる運命の悲劇をドラマティックに演出。

影絵人形芝居は、観る者の心や記憶の深淵を刺激する<演劇の原点>として、ファンタジックに劇的浄化をもたらします。

子どもから大人まで、幅広い世代の観客が心をときめかせる舞台に違いありません。

【あらすじ】

四国高松に伝わる、病気の子に添い寝させると病気も不安をも吸いとってくれて、朝に海に流すと言う「奉公さん人形」にまつわる話。

昔、おさきと言う貧しい家の娘が居た。 家が貧しいために、長者に奉公人として買い取られていった。  しかし、おさきは長者の家に代々伝えられている「頂天眼」と 言う極楽浄土の金魚を拝みたいという願いを持っていたので、 身の不幸とは思っていなかった。

ある日、長者の長男である太郎が重い病にかかった。 しかしどんな治療を行っても回復の兆しが見えない。  長者は太郎の回復を願い、山の巫女の言うままに、病気の根源 であると言う太郎に憑いたイズナ(憑き物)を太郎から追い出 すために おさきを生け贄にすることを考えたのだった…。

太郎からイズナをうつされたおさきは、褒美として頂天眼を長者に見せてもらう。だが、そのグロテスクな容姿に絶望してしまう。そんな中、山の巫女はおさきを小舟に乗せ、海へ流し火をかけるよう命令する。

朝焼けの海の上で、おさきは船もろともに焼かれてしまう。その炎の中、おさきは頂天眼となり、首なし馬とともに金の雨、氷の鱗を降らせながら天へ昇っていく。

【公演の感想】

(横浜公演)

鳥肌が立つくらい感動しました。(20代 女性)

昔々の子供の頃のスライド上映会を思い出して懐かしく、これも本当に久しぶりのたたみと障子の和室のたたずまいにも感動を覚えました。

(70代 男性)

ちょっとこわかったです。うらがわをみて、仕組みがすごいと思いました。 (10代 女性)

fantastic! 影絵がロケーションと婚姻していました。流れる夜風もJawa のようでした! とても1人遣いとは思えない見事な人形遣いでした。 感動しました。 (60代 男性)

「金魚」は何度見てもおもしろいです。(女性)

創作影絵人形芝居 極楽金魚

公演実績】

ギャラリー松林、池袋コミュニティカレッジ、西新井囲碁クラブ、 ケララの風 II、神奈川県立桜陽高校、ノイエス朝日(前橋市)、自由空間しおん、南軽井沢稲葉邸「自在」他