YBT語りの会

YBT語りの会/目をつぶり、物語の旅に出よう。/三人の詩人 宮澤賢治・樋口一葉・小熊秀雄の世界
言葉は体験を運ぶ道具です。声で楽しむ文学は、視覚情報に疲れた現代人に、「想像力」という究極の娯楽の復興を提案します。
第1回5月3日(金・祝)
さるのこしかけ(宮澤賢治作)-子供が踏み込む幻想世界-栗の木に生えた「さるのこしかけ」にいつの間にか小さな猿が現れて「楢夫」は誘われるがままに栗の木の中に入って行った…。自然が見せる不思議と、そこで発揮される人間の想像力と創造性。理屈を超えてゆく「楢夫」は賢治であり、私たち自身の秘められた力かも知れません。
龍と詩人(宮澤賢治作)-詩の謎に迫る-詩句の会で褒められ、偉大な詩人を退けた若き詩人スールダッタ。「だがその詩は龍から盗んだ詩であった」と懺悔する詩人に対し、龍が語った言葉とは…。自由な魂でこの世界と一体となり、大いなる経典を探し求める龍と人は共に詩人であり、その絆は固い。詩人とは何者であるか、賢治が語りかけます。
「琴の音」(樋口一葉作)-音の音の力を詠む-母に捨てられ父も自死し、残された金吾のねじけゆく心に響いてきたのは、見も知らぬ女性の奏でる琴の音であった…。苦難の魂に寄り添い、芸術が救いとなることを強く信じた一葉の、小説でありながらそのドラマ性は短歌に近い、率直な情熱に溢れた初期の作品です。
「長長秋夜」(小熊秀雄作)-苦難に抗う朝鮮の魂の歌-朝鮮民族伝統の白服を伝統的な方法で洗い仕立てる老婆たち。貧苦を逃れ新たな時代へ突き進もうとする人々は、その白服を汚し剥ぎ取ろうとするが…。強権に抵抗する人々に寄り添い、戦時下の弾圧の中理想を貫いた詩人・小熊秀雄が、悠久の時を生き抜く朝鮮民族の不屈の魂を詠った長編叙事詩。
第2回5月17日(金)
「にごりえ」(樋口一葉作)-花街に渦巻く男女の悲哀-売春を行っている小料理屋「菊乃井」で一番人気の酌婦「お力」は、ある晩粋客の「朝之助」に、間夫である「源七」の存在を打ち明ける。源七はお力に入れ込み家を傾け今は長屋で極貧暮らしをする。妻の「お初」は内職をしながら、夫に身を持ち直すよう懇願するが、それも虚しくある日の諍いでお初は離縁され、子と共に家を去る。全てを失った源七と、虚しく身を売るお力は…。今よりも自由な生き方が許されなかった明治の頃、ドブ泥流れる濁った界隈であった白山辺りを舞台に、それぞれの定めの中、理想と現実に引き裂かれ蠢く男女の姿を描いた、樋口一葉の代表作。

スタッフ・キャスト

第1回(5月3日)

語り

桐山日登美(『さるのこしかけ』)

増田美穂(『龍と詩人』)

岡屋幸子(『琴の音』)

奥本聡(『長長秋夜』)

演出

吉岡紗矢

音楽

松本利洋

第2回(5月17日)

語り

『にごりえ』……吉岡紗矢

演出

遠藤啄郎

音楽

松本利洋

会場

大森 鷲会館(おおもり おおとりかいかん)
〒143-0016 東京都大田区大森北1丁目15−12
○ 会場は3階「亀の間」です。
○ 会場1階から3階までは階段をご利用いただきます。
 (大変申し訳ありませんが、エレベーターがございません)
○ 座敷の会場ですが、全席椅子席にてご覧いただけます。
○地図(Google Map

料金

一般:3000円

学生:1500円

(当日各+500円)

予約・お問い合わせ

横浜ボートシアター
info@yokohama-boattheatre.org
080-6737-5208