『小栗判官・照手姫』復活上演計画について(3)船劇場の危機にあって見えて来た使命の一つ、遠藤作品の再演

『小栗判官・照手姫』復活上演計画の連載第3回目です。

前回は、「『小栗判官・照手姫』をもし上演するならば自分たちで新たに創作しなさい」という緒方規矩子さんの言葉をご紹介しました。衣裳家のパイオニアとして真摯に創作に向き合ってきた大ベテランの厳しくもありがたい助言により、私たちは『小栗』の創作を根本的に考え直す必要に迫られます。とはいえ、緒方さんからの助言をいただいた時、私たちは既に『小栗』の再演は必ずやらねばならないもの、と意志を固めていました。今回は、そもそもなぜ『小栗』の上演を目指すことになったのか、連載の第1回目よりもさらに遡った事情に立ち返ってお伝えします。

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船劇場の危機にあって見えて来た使命の一つ、遠藤作品の再演

『小栗判官・照手姫』と言えば、1982年〜2003年まで劇団で繰り返し上演され、海外の演劇祭に招かれるなど海外でも人気を博した作品です。

何故そのような完成度の高い作品を新たに作り直すことになったのか、その発端は昨年の9月の一本の電話に遡ります。

それは艀である船劇場の管理にご協力いただいている方からの電話で、どうも劣化が激しいので近く船劇場をドックに上げて修繕した方がいいとのことでした。

「前回の修繕からまだ4年しか経っていないのに⁉︎」

10年は保つと考えていましたし、修繕にはまとまった経費がかかるので、私たちは一瞬頭が真っ白になりました。

その後劇団で方針を話し合い、船劇場の存続を考えると皆様のご支援、ご協力をいただく他なく、そのためには船劇場を「皆さんと共に夢を実現して行く場」とする必要がある。

そこで、人々から自分達に託されていることは何かを考えました。

一つは船劇場の面白さをより多くの人々が享受できる環境を整えること、そして自分達が常に新たに創作し、質の高い作品の発表を目指すことは当然として、もう一つは皆に愛された遠藤の作品を再演して行くことだと考えました。演劇作品は上演しなければ実質消えてしまうものだからです。

船劇場の今後について多くの関係者に相談をする中で、「小栗が観たい」とのご意見を耳にし、確かに『小栗判官・照手姫』の舞台は多くの人々に愛され、再演を望む人は多いのではないか、そして再演をするなら私たちをおいて他にはいないと考え、行く行くの再演を目指してゆこうと劇団の意思を固めたのでした。

案の定『小栗判官・照手姫』の話をすると、再演に向けて応援、ご協力をしてくださる方々がすぐに現れ、そして、某劇場の館長並びに堀尾幸男氏から、具体的な日程とご協力の意志と共に強力なプッシュがあり、再演に向けてすぐに動き出すこととなった次第です。今思えば、それほど強く人々に支持され、再演を切望される作品であったということです。

さて、衣裳家の緒方さんの助言を受け、「再演」ではなく「新たな」作品としての『小栗判官・照手姫』を目指すことになったのですが、出演者が20人近く必要なこの大作にどう取り組むか、悩みに悩んだある日、ふとある考えが浮かびました…(続く)

吉岡紗矢

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