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横浜ボートシアターの『小栗判官・照手姫』は、JR石川町駅近くの中村川に浮かぶ木造の船劇場で初演されました。当時は写真のように元町のすぐ裏手から乗船していたようです。本作は多くの方々からの好評を集め、国内はもとより、やがてエジンバラ、ニューヨーク、香港、シンガポール等、世界各地で上演されることとなります。
昨日、『小栗判官・照手姫』の復活上演を目指すにあたっては紆余曲折があることに触れました。昨年来、船劇場の今後に関する相談をするにあたり、『小栗』の話をすることが度々ありますが、その都度、『小栗』が私たちだけでなく多くの方々にとって非常に大事な作品であることをひしひしと感じております。みなさまの『小栗』に対する想いを肝に銘じるためにも、本日から数回にわたり、少し長い話になりますが、「復活上演」を目指すまでの経緯をお伝えいたします。
遠藤と懇意にされていた某劇場の館長と、舞台美術家の堀尾幸男両氏から、次のような助言をいただいたのは、昨年11月末のことです。
「遠藤啄郎を偲ぶ会について、故人を偲ぶ内輪の会より、遠藤さんの作品を上演した方がいい、『小栗判官・照手姫』を再演しなさい」
2020年5月の「遠藤啄郎を偲ぶ会」は新型コロナウイルス感染症蔓延により延期となり、その後今年6月の開催を計画していました。
しかし、遠藤が亡くなって時が経ち、社会は疫病にも晒され人々の生活も大きく変わった今、ただ単に遠藤を懐かしむ会を行うより、遠藤の遺した力強い作品を上演する方が社会的に意味があり、遠藤も喜ぶに違いない。
私たちもそう考え、ご意見に賛同しました。
そして堀尾幸男氏総合監修の元、2023年秋に船劇場で『小栗判官・照手姫』の再演を目指すこととなりました。
方針が決まったのは良いけれど、不安で眠れぬ日々…
『小栗判官・照手姫』は「そのうち」再演したい旨を堀尾さんにお話ししてあったのですが「今すぐ」着手するとなれば、20人近く出演する大作に、役者をどう集め、どのようなチームを作るのか、大変な難問でした。
しかし「遠藤さんの演出もあるし、緒方規矩子さんの衣裳はあるし」何とかなるに違いないと心を奮い立たせ方策を練っていました。
そんな矢先、緒方さん宅へ伺い、再演の話をすると…(続く)
吉岡紗矢