本日のワークショップには、なんとシンガポールの国営テレビ放送の取材が入りました。『新版 小栗判官・照手姫』の制作にご協力いただいている佐野さんのご尽力で今回の撮影が実現しました。この場を借りて、改めて感謝申し上げます。
このクルーは日本を縦断するロケをしており、私たちの前後にも撮影をこなすというハードなスケジュールの中、船劇場にいらっしゃるとのこと。彼らは少し遅れて訪れることになっていたため、ワークショップ自体はいつも通り自己紹介から開始しました。
続いて、初めての方のために、仮面の解説。その後、奥本による中国武術を取り入れたウォーミングアップを行い、中性面による炎の即興に挑戦します。最初の方から仮面の怖さに踏み込む高いテンションが出て、最後の参加者までそのテンションが続きました。
この中性面の即興が終わった頃に、取材クルーが到着し、スタッフが次々と船内へと入ってきます。なんとなく騒がしい現場を予期して身構えていましたが、そんな想像とは裏腹に彼らはとても物静かで黙々と準備を始めました。
仮面を体験する女優さんが船劇場の楽屋で着替えると、早速参加者に混じって即興の体験をすることに! 吉岡や奥本が仮面即興の考え方を説明した後、女優さんはつける仮面を選び、鏡の前へ。ここでもまた、どんな点に注意したら良いかなどを細かく説明しました。一通りの説明が終わったあと、彼女がいきなり実践するかどうかを話し合い、まずはワークショップ参加者の即興を見ていただくことになります。
先陣を切ったのは、劇団員の奥本。彼が舞台の奥の方へ歩いていくと、なんとカメラマンも一緒に舞台に上がり、即興の開始前、仮面をつける瞬間を至近距離で撮り始めました。激しい演奏の中、奥本はテンションの高い演技をしますが、カメラクルーも奥本を挟み込むかのように負けじと接写を続けます。仮面即興を長年やっていますが、こんな光景は初めてです。
さらに驚いたことには、カメラの接写はこれだけでは終わらず、続く一般参加の方々も同様に、カメラに囲まれながら即興をすることに! 相当に緊張する状況のはずでしたが、どなたもプレッシャーを力に変え、とても素晴らしいパフォーマンスでした。
さて、いよいよ女優さんが仮面をつける段となりました。長旅の中、ほとんど予備知識や予行演習もなく、いきなり仮面をつけられるので、最初はとても緊張されていたご様子でした。しかし、演技が始まってみると、さすがプロの女優さん。アドバイスを的確に理解し、とても初めてとは思えない、魅せる演技をされました。
なお、この日、松本は全部で6人の仮面の即興に対して即興演奏をつけましたが、こちらも至近距離でカメラに囲まれていたため、最初から全力に近い力の入った演奏となり、カメラがいる手前テンションを下げることもできずに突っ走った結果、撮影終了後にテレビ局のディレクターから「Show man!」と称えられ握手を求められる一幕も……。
撮影陣の撤収が終わり、ワークショップの締めの挨拶をした後も、興奮冷めやらぬ面々はいつもより長く船劇場に残り、様々なお話をして交流を深めました。
次回の仮面のワークショップは、5月11日開催です。皆様のご参加を心よりお待ちしております!
※今回の撮影が含まれる番組は、7月に放映予定とのことです。告知ができる段になりましたら、またお知らせいたします。