今週の木曜日から語り公演に向けた稽古が本格的に始まりました。今までにないチャレンジが含まれるためか、初回からかなり熱い稽古になった模様。音楽担当の松本くんに書いてもらった記事からは、その一端が垣間見えるかもしれません。
ここ数年ボートシアターでたびたび音楽を担当させていただいている松本利洋です。
本日は通常の稽古に加えて、非常にディープな話し合いを含んだものとなり、普段とは少し違った意味での内容の濃さがありました。
「作品が分かる」という言葉の意味、遠藤さんの世界観や創作観、仮面を使う理由、ボートシアターという集団のポリシーなど、多方面にわたって遠藤さんの考え方やボートシアターの在り方を見つめ直すきっかけになったようにも思います。
そういったベースを踏まえた上で、「じゃあ今回の作品はどんな風にやっていこうか」ということをしっかり考えるのが今日という日だったのだと思います。
バックグラウンドとなるような話が多くなったのは、今回選ばれた作品ゆえでしょう。
樋口一葉、芥川龍之介、両者ともに今までボートシアターではあまり取り組まれることがなかった題材です(樋口一葉に関しては、2000年横浜市中央図書館で行われた図書館小劇場で、やはり『にごりえ』が語られています。ただし、その時の演出は緒方規矩子さんでした)。
宮澤賢治作品をやるときのようにスムーズに事が運ぶとは限りません(もっとも、ボートシアターの場合、たとえ再演であっても何かしら変更を加える事が多く、すんなりと本番を迎える事は稀です)。
今日は稽古それ自体よりも話し合いが多くの割合を占めました。しかし、奇しくも遠藤さんが稽古中におっしゃっていたように、話し合いの過程からこそ創作が生まれるという視点はとても大切なものだと思います。話し合いというのは、ベタに話し合うことだけでなく、実際の稽古を通していく中で生まれていくコミュニケーション一般も含むでしょう。稽古という場で出てきたものがいかに作品として結実するか、当事者ながらとても楽しみです。
遠藤さんがこうした新しいチャレンジに踏み出す現場に居合わせることができて、大変幸運に思いますし、作品に関われることはとても光栄に思っております。
本日の稽古を経て、この作品が無事に本番を迎えられるよう全力を尽くさねば、そして、この二つの作品を成功させたい、という思いが更に強くなりました。
本番は12月20日、21日。会場の南軽井沢稲葉邸がボートシアター・樋口一葉・芥川龍之介の素敵な出会いの場として立ち現れるよう、音楽の面から精一杯努力して参ります。
松本利洋
これから毎週にわたり、稽古内容を報告していく予定です。公演の詳細については後日発表いたしますので、もう少々お待ちくださいませ。
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