語りワークショップ日誌(2014年11月10日)

本日の参加者は全員「にごりえ」に取り組んでいる人達でした。
稽古後、「声に出して読む取り組みをしなければ、『にごりえ』の素晴らしさをこんなに深く知ることはできなかった」との感慨を語り合いました。
書かれた言葉を音声に起こす作業とは、単語の意味と関係性を文章の端々まで厳密に読み取り、それを体で納得し、腹の底から発せられる声にすることです。(このようなプロセスを、私たちは「言葉を身体化する」と言っています。)
読み込むのに時間はかかるけれど、言葉を噛み砕いて味わうことで、作品がより深く体に刻み込まれる。そのような文学を楽しむやり方が、もっと一般的になっていいのではないか、と思います。この面白さを知らないなんてもったいない!と思うのです。

「にごりえ」を深く読むために幾つか参考になった本がありますが、その一つは紀田順一郎著「東京の下層社会」(ちくま学芸文庫)です。明治から昭和初期頃までの、貧民と呼ばれる人達の生活や遊女の暮らしについて書かれています。
「にごりえ」をきっかけに様々なことに目が開かれてゆく喜びをかみしめつつ、作品の舞台である新開地に生きる人々の切なる思いを伝えるべく、言葉と格闘しています。

吉岡紗矢

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