政大夫さん、泉くん、柿澤さんは10:30に駅に集合し船劇場へ。
政大夫さんによる泉くんの特別レッスンが、今日は全体稽古の前に行われる。
このレッスンはかれこれ5ヶ月続いており、普段は週一回政大夫さん宅で行われている。
泉くんは「恋に狂ひて」に役者として参加するのは今度のKAAT公演が初なので、急ピッチで個人レッスンが行われている。
柿澤さんはそれを見学し、合間にレッスンもしてもらっている。
他の役者もこれまでじっくり稽古をつけてもらったが、改めて丁寧な役者指導をして下さる政大夫さんに感謝の気持ちでいっぱいです。
14:30には他の役者も集まって、全体稽古が始まる。
遠藤さんの演出のもと、役の造形をはっきり的確にしてゆく。
役者が語る上で身につけなければならない基本を政大夫さんに教わり、この作品に必要なことを遠藤さんに厳しく求められチャレンジしてゆく、いつもながらこんな恵まれた稽古場があろうかとの思い。
本日の一幕。
遠藤さんが「その言い方は違う。相手役を受けてない」「違う!」「違う!」と言い続ける。
それを受けて政大夫さんが「相手役にどう伝えたいかが感じられない」と言う。
そこで役者はハタと相手役を忘れていたこと思い出し、自分の枠内に納まってしまっていた反応を相手に向かって返すようになる。
そして「相手役のために言うんですね」とつぶやく。
こういう大事なことも時に忘れてしまうことがあるのです。
18時過ぎからは語りだけの通し稽古が始まる。
演助の垣花さん、制作の斎藤さん、それから語りワークショップ仲間の由梨さんも観にいらした。
通すとやはり、抜き稽古の時ほどのびのびした語りではなくなってしまう。
泉くんは斎藤さん曰く「途中参加で良くここまで追いついてくれた!」遠藤さん曰く「まだまだ課題はあるけど役柄としてはぴったりだから頑張ってほしい」
柿澤さんは低い声の開発が進み、基本を学び直しているせいで、垣花さんに良くなったと言われ文字通り舞い上がって嬉しがった。
奥本くんはもう一つの一葉語り公演の方でひどく遠藤さんに追い詰められてきたせいもあり、緩やかに確実に前進している。遠藤さん曰く「俺がいじめて半泣きだった」政大夫さん曰く「半分だけ?(もっと泣け!)」
春菜さんはこのところ忙しく思うように稽古が出来ないことに気を揉んでいる。対策を取り4月からは本腰を入れるとの意気込み。娘さんも4月から幼稚園!
玉寄さんはのびのび楽しげに、そして抑制された深い叫びを湛え演じていらっしゃる。人の語りを実によく聞いていらっしゃる。吉岡は今日非常によいアドバイスをいただきました。
松本くんは音楽がよくなったと皆に言われ、おまけに作成中の両面カラーの仮チラシの評判もよく「マルチな才能だ!」と言われるのに対し、「なんか(その言い方)信用ならない」とうなだれる。
政大夫さんは朝からの稽古付けのお疲れも見えず。エレキ三味線から新たなゾッとするような情感を出される。斎藤さん曰く「もはや老師のような風格」遠藤さん曰く「うまくなったねぇ」(20年来のお付き合いの遠藤さんから見れば、師もまた成長されているのだ)
遠藤さんは昨年末の不調からすっかり回復され、7時間の稽古を実に精力的に、役者に注文を付けゲキを飛ばす。稽古を楽しんでいらっしゃる様子。暖かい季節になって本当によかった!
垣花さんは久しぶりの参加で、いつもの雰囲気とそれぞれの変化を楽しんでおられた様子。多忙な方ですが是非コメントをいただきたいお一人なので、今後ともよろしくお願いします。
斎藤さんも多忙の中、KAATとの打ち合わせや広報の計画など着々と進めていて下さる。作品の不備に激怒した斎藤さんが銃を乱射する夢を見たとお伝えしたら憤慨されていましたが、それくらい作品に惚れ込んでいて下さる。
ワークショップ仲間の由梨さんは「やっぱり語りが大事だなぁ」としみじみ。ご自身の作品づくりの合間にいらしてくれました。ありがとう!
吉岡はまだまだ自己の芝居に囚われて、その日の関係の中で場面を生み出す視点に欠けた。政大夫さんのご指摘の通りです。二役とも愛情深い役。遠藤さん曰く「もっとあたたかく、柔らかく。愛情故罪を犯すんだ!」頑張ります。
それぞれ課題を抱えていますが、更に面白くなりそうな予感を持ち、皆とても前向きに取り組んでいる様子。
作品と仲間に恵まれた幸せ、再演を重ねることが出来る幸せを噛み締めるのは私だけではないかも。
来週からはいよいよ人形と再会し、立ち稽古が始まります!
記:吉岡紗矢