劇団新企画「シリーズつなぐ〈艀〉」10月6日開催!

シリーズ「つなぐ〈艀〉」第1回『艀で暮らし働く人々 〜子供たちが残した港の記憶〜』

まち歩きと講演でたどる、横浜の知られざる歴史

港町・横浜の誕生と共に生まれ、
貨客船と桟橋を繋ぐ役割を担った〈はしけ〉
そこに生きる人々の生活記録から
あなたの知らない横浜が見えて来る。

まち歩きワークショップツアー(14:00〜14:30)

集合:横浜人形の家 2階入口前に14時

艀の劇場「横浜ボートシアター」への道筋はディープで迷宮的でもあります。会場までの道すがら、あまり知られていないもう一つの横浜もご堪能ください。講師じきじきに皆様をガイドし、講演会場「船劇場」へとご案内いたします。14時に人形の家2階入口前にお集まりください。
※天候により、ガイドを簡略化する可能性があります。あらかじめご了承ください。

講演(14:30〜17:40/途中休憩あり)

横浜、艀の時代

開港以来、横浜になくてはならない存在だった艀。この艀を中心に据えて横浜の歴史を振り返ると、今まで見えてこなかった横浜や日本の歴史が見えてきます。松本氏の講演に先立ち、広い視野から艀の活躍した時代背景を語ります。

講師

河北直治(横濱界隈研究家)

1953年東京生まれ。西区在住。YOKOHAMA路上観察学会世話人、大岡川運河周辺史を研究。濱橋会歴史部会。路上観察・運河ガイドを通して横浜を新しい視点で捉える作業をしている。季刊横濱57号「特集 大岡川をめぐる物語」、「横浜・川崎・鎌倉凸凹地図」(昭文社)共同執筆、大岡川運河ガイドブック(よこはま都心部水上交通実行委員会)運河ガイドは100回を超える。

子供たちが残した港の記憶〜艀で暮らした子供の作文から〜

艀は仕事場であると同時に、家庭の場でもあり、そこには家族のドラマがありました。艀に暮らし、学校に通った子供たちは、そんな艀の様子を作文に書いています。今回は、彼・彼女たちの作文から、労働の場、生活の場としての艀について読み解いていきます。

講師

松本和樹(横浜都市発展記念館調査研究員)

1987年生まれ。博士(歴史民俗資料学)。専門は日本近現代史。仲仕や艀など、港で荷物を運んだ人びとの生活・労働に注目して近現代史を分析している。主な論文に「川の町・横浜の姿 ―横浜市街地の河川運河と水運―」(平山昇編『大学的神奈川ガイド こだわりの歩き方』株式会社昭和堂、2024年10月刊行予定)、「戦間期横浜臨港貨物鉄道の駅仲仕集団」(『歴史評論』884号、2023年12月)。

艀とは

艀は箱型をした自走できない船です。タグボートに引かれ沖から陸地へ荷物を運搬するこの船は、大型船の入港が困難な横浜には不可欠な存在でしたが、コンテナの発達で数が急減しました。昭和後期から平成初期までは、第一線を退き河川に停泊した艀の独特な空間がブティックや劇場等に転用されました。横浜のディープな景観を描き出す艀群のアップサイクルは、大きな可能性を秘めています。

開催概要

2024年10月6日(日)14時「横浜人形の家」2階入口前集合
登壇者/河北直治(横浜界隈研究家)、松本和樹(横浜都市発展記念館調査研究員)
史料作文朗読/岡屋幸子、桐山日登美、増田美穂
主催/横浜ボートシアター
参加費 2000円(要予約)

協力/映画『The Spirit of Yokohama』、NPO法人 HamaBridge 濱橋会、木霊の会、「みんなの山下ふ頭に〇〇があったらイイナ」プロジェクト、YOUR Social Project、Yokohama TUG Culture Club.、横浜舞台表現研究会、横浜ボートシアターを目撃する会、YOKOHAMA路上観察学会

予約・お問い合わせ(横浜ボートシアター)

MAIL info@yokohama-boattheatre.org
TEL 080-6737-5208

新たな挑戦をするにあたってのご挨拶

横浜ボートシアターは1981年の旗揚げ以来、数台の木造船から鋼鉄船へと代替えはしつつも、いつも「艀」を改造した船劇場で創作・発表を行って来ました。

この度、横浜界隈研究家・河北忠治さんと、仲仕(港で荷物を運んだ人)や艀などから見た近現代史を専門に研究されている松本和樹さんを船劇場へお招きして、「艀」を切り口に港や横浜の歴史のお話をしていただきます。講演前にはお二人のガイドを聞きながら船劇場へ向かう「まち歩きツアー」も開催! また「艀」で働いた人々の子供たちが残した作文を、劇団に関係の深い役者たちが講演の中で朗読いたします。

河北さんは出会った当初より、「横浜はもともと言論と劇場の街だった歴史があるので、船劇場をやることにはとても意味がある」と励ましてくださり、横浜の歴史をあまり知らない私たちに「数人でも集まればいつでも歴史の話をしてあげますよ」と言ってくださっていました。松本さんは、船劇場へ取材にいらしたのがご縁ですが、ご専門の「艀」や仲士の話となると情熱が溢れて話が止まらなくなるという非常に面白い方です。

船劇場は波に揺れるし、ギーギー音はするし、廃墟のように赤錆びた少し怖いような場ですが、私たちは当初それを先輩方から受け継ぎ面白がっていただけで「艀」なるものの実態にそこまで興味を持っておらず、「艀」であるということすら忘れるほどでした。しかし、劇団代表であった遠藤啄郎が2020年に亡くなった後に、「船劇場を市民に開かれた場にして行こう」と決意した頃から、「艀」への興味が増して行きました。山下ふ頭の開発に提言を行う市民活動「みんなの山下ふ頭に〇〇があったらイイナ」プロジェクトの立ち上げに参加し、その中で、「艀」のアップサイクルの意義・魅力について発信して来た私たち自身、「艀」の歴史についてもっともっと知りたいと思うようになりました。

本講演会には、横浜や港の歴史、まちづくりに興味のある方、演劇や劇場に興味のある方、劇団支援者など様々な方にいらしていただきたいと願っております。多様な分野、コミュニティー、趣味趣向の人々が一堂に会し、一段深い歴史を共有し共に未来を考えてゆける場となることは、「市民に開かれた劇場」の催しにもふさわしいと考えております。実際に山下ふ頭に係留しての劇場オープンは未だ多難ではありますが、形式ではなく内実としての、これは一歩だと思っております。皆様のお越しを心よりお待ちしております。

横浜ボートシアター