ボートシアターの特殊な稽古スタイルとその訳

「さらばアメリカ!」のポスターと記念撮影(神奈川芸術劇場KAAT前にて)

 

ついに劇場前に「さらばアメリカ!」のポスターが貼られました!

顔合わせから本番まで1年10ヶ月。
長いと思われるかもしれませんが、その間の稽古総数は58回、現在46回目。
2016年8月に初顔合わせをしてから、段階的に稽古頻度を上げて来ました。
始めの4ヶ月間は月一回、その後10ヶ月間を月二回、5ヶ月間を週一回、2ヶ月間を週二回、最後の1か月を週三回、そして劇場入りを迎えます。

この長期に渡る稽古スタイルは他の劇団と比較するとかなり特殊かもしれません。
ボートシアターは昔からおおよそこのスタイル。
大きな理由は、創作期間におけるメンバーの経済保証ができないので、各々の生活基盤(経済活動等)を妨げないペースで創作するということです。

しかしこのやり方、別な意味でもかなりいいところがあります。
いいところを列挙してみましょう!

①役者がその作品で求められる表現をするための身体改造ができる長さである。
②作品を深めるためにじっくりと資料を集めたり学んだり考えたりできる。
③一回一回の表現を試す前に熟慮できる。
④短期集中型より表現が深く身体化される。
⑤実際に出てくる表現を見ながらじっくり演出や音楽を練ることができる。
⑥メンバーの成長期間がそのまま作品の成長期間になる。
劇団だけでも「さらばアメリカ!」と同時並行で、
・「極楽金魚」「どんぐりと山猫」首都圏・大阪・岡山ツアー
・日本間で聴く一葉「大つごもり」「十三夜」
・「にごりえ」北海道ツアー
・賢治讃劇場「フランドン農学校の豚」「シグナルとシグナレス」
・碁会所で聴く一葉「うつせみ」「十三夜」
・日本間で聴く宮澤賢治「いてふの実」「水仙月の四日」「土神と狐」
・創作影絵人形芝居「月夜のけだもの」「極楽金魚」
と数々の作品を仕込み上演して来ました。
メンバーもそれぞれの活動の中で成長し、その成果を持ち寄ってくれます。

以上、このやり方に慣れてしまえばいい事尽くめのようにも思えます。
「さらばアメリカ!」の主役・丹下一さんは今回初めて出演していただくので、劇団のこのペースに驚いていらっしゃいました。慣れるまでには勝手が違いだいぶご苦労をお掛けしたことと思います。

劇団の稽古スタイルのもう一つの特徴も書き添えておきましょう。
言葉の表現(語りの稽古)を非常に重視しています。
今回も1年10ヶ月の稽古期間のうち、前1年3ヶ月は動かず言葉の稽古だけでした。
動きの勢いや成り行きとは切り離した言葉の表現を目指しています。
言葉が伝わらなければ演劇ではないと遠藤は言い切ります。

語り稽古の様子
語り稽古の様子

さて劇団のこれらの方針がどんな成果を生むのか、是非実際に劇場でご覧になってお確かめ下さい!

皆さまのお越しを心よりお待ちしております。

本文:吉岡紗矢