散りたる花は母上様 咲きたる花は父御様 つぼみし花は愛護なり

「恋に狂ひて」稽古日誌(2015年3月29日)

咲き始めの桜がいい匂いですよという話を聞いたのが昨日。
いよいよいい季節が来たと喜んでいたが、午後の船劇場内は初夏のようでした。
とても衣裳を着る気にならない。
「夏場はハイネックの衣裳を別なものに変えられないかね~」と玉寄さんが言う。
6月の旅公演のための稽古はきっと大変な暑さになるだろう。

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本日、6月の二週間に渡る「恋に狂ひて」関西・四国ツアーが正式に決定したと、制作の斎藤さんから報告あり。
斎藤さんの豊富な人脈と資金繰りのおかげで、ついに実現!
楽しみです。

政大夫さんが実に四週間ぶりに稽古にお見えになった。
その間、政大夫さん抜きで、小返しを繰り返し演出や演技を作りこんできた。
政大夫さんは早速エネルギッシュに役者にアドバイスして下さる。
玉寄さんもアドバイスして下さる。
劇団が少人数運営体制に変わっても、先輩として教えて下さり、しみじみ有難いです。
本日は照明の竹内さんもお見えになっている。
昨日仕込みをされていたとのこと。
勝手知ったるスタッフさんが、都合のいい時間に仕込みが出来る。
自分たちの劇場を持っていることの幸せを改めて感じます。

本日の通し稽古は四週間ぶり。
集中してこの間の変更点を全て間違えずにやらねばならない。
しかし結果は変更点を網羅はしたが、それ以上のものが表現できなかった感が強い。
演出部からも制作からも、「良くなったが、さらりと行ってしまった感じ」という声。
演出は緻密に決まってきたので、あとは演者が端々までそれを充実させ、形を上回って行かなければならない。
今日は再演版のスケッチが描けたという状態でしょうか。
明日は細部の手直し。その次からは毎回通しを行います。

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愛護の若が入水した桜の季節、同じこの季節に上演するという高揚感と、それゆえに春の内包する悲しみを今年はひときわ感じながら、劇場から溢れ出るほどの何かが生まれる舞台にして行きたいと、強く思う。

吉岡紗矢(出演/人形・小道具・衣裳製作)