マハーバーラタとは、古代インドで生まれた世界最長の物語である。従兄弟同士のパンダワ五王子とコラワ百王子の対立を軸とした大叙事詩であり、インドからインドネシアにも伝えられ、インド同様にインドネシアにおいても様々な芸能の演目となっている。

本公演は松本亮氏の著作『マハーバーラタの蔭に』を参考にして作られた。

アビマニュはパンダワ五王子、三男アルジュノの息子にしてパンダワ唯一の王位継承者である。戦を避け、隣国ウィロトの王宮に留まっていたのだが、父・アルジュノが敵の計略にかかり行方不明となってしまったため、若干16歳にして、パンダワの戦闘指揮官として出陣することになった。敵の戦闘指揮官はパンダワ・コラワ双方の武芸師範ドゥルノである。

アビマニュには二人の妻がいる、シティスンダリとウタリである。アビマニュはウタリとの結婚をするとき、シティスンダリと結婚していた。しかし、ウタリに一人身であるかどうかを尋ねられたとき、アビマニュはつい偽りの誓いをしてしまう。もし、自分が一人身でないのならば、同族戦争バラタユダにおいて、あまたの敵の矢がこの身に突き刺さり、自らの命がなくなるであろうと。

アビマニュが戦場に赴く時、既にこの誓いは破られており、二人の妻は、アビマニュの出陣に不吉さを感じるのだが、彼女たちには無事を祈る事しかできない。

翌日の戦闘において、アビマニュは敵陣深くにただ一人とり残され多くの矢をその体に受け命を落としてしまう。アビマニュ戦死の報を聞いたシティスンダリは殉死する。そして、もう一人の妻ウタリはその身にアビマニュの子を宿していた。

葬儀も済んだころ、アビマニュの父アルジュノがコラワの計略を破り本陣に帰ってくる。そして、アルジュノは本陣にただよう空気から息子・アビマニュの戦死を知る。息子の死に怒り狂うアルジュノは周りの諌めも聞かずに、日が落ちるまでにアビマニュの仇を討たなければ自ら命を絶つと誓い、苦戦を強いられながらも仇を討つ。

戦いは、激しくなり日は落ちた後も続けられ、まるで狂ったかのような惨劇が繰り広げられる。朝日が昇ると同時にパンダワの陣から赤子の鳴き声が聞こえてくる。アビマニュとウタリの子が誕生したのだ。

この新しい命が歩む人生は一体どのようになるのだろうか、この命を守る祈りの中で劇はこの話は幕を閉じる。