船劇場の現状と2023年の計画

浸水の状況について

2022年2月にドック入りした後、8月頃から見られた新たな浸水については、今年に入ってからは止まっており、ドック入り前の浸水で入ったままになっていた水であった可能性が高いと、現状は判断しております。

船舶検査

船劇場を仮係留し一般に公開するにあたって安全担保に必要な船舶検査を受ける準備を進めています。

検査前に艀の現状について、国土交通省が求める様々な測定が必要です。

関西設計をコンサルタントに迎え、最低限必要な測定項目を調査中です。

測定のため6月21日〜7月2日まで、昨年めお世話になったトモイ造船鉄工所に上架(ドック入り)することとなりました。

資金調達についてはクラウドファンディングを検討中です。

今年下半期の仮係留を目指す

劇団では遠藤啄郎追悼公演として『新版 小栗判官・照手姫』の準備を進めており、11月の船劇場での公演を目指しています。

現在「船劇場測定検査→船舶検査→合格→仮係留」という流れの初期にあり、先が見通せない状況ではありますが、仮係留実現の暁には、劇団公演のみならず、様々な実験的かつ公益性の高い企画を行う予定です。

船劇場仮係留実現に向けた市民レベルの動き

船劇場仮係留に向けた進め方の変更

仮係留実現に向けた具体的な進め方を変更しました。

昨年まで山下埠頭再開発へ提案を行なっている港湾関係者の団体・ハーバーリゾート協会(略称:YHR協会)との関係を取りつつ進めてまいりましたが、要望する主体のスケール拡大と盛り上がりを求めて迅速に進めてゆく必要があり、YHR協会との関係を維持しつつも、独自に進めて行くことになりました。

〈2022年12月まで〉

YHR協会の協力を得つつ山下埠頭入り口付近に船劇場を仮係留する方針

〈2023年1月以降〉

YHR協会との関係を維持しつつも山下埠頭入り口付近に市民のための区画を作りたいという市民運動を活性化させ、市や関係機関に市民からの提案書を提出することを目標の第一歩に。

狙い:多くの市民の様々な願いと共に船劇場仮係留の願いも届けてゆく。その市民活動の中で船劇場の歴史や価値の認知を広げてゆく。

劇団と運動体との関係

「YOKOHAMA TUG CULTURE CLUB」(構想中)

山下埠頭に市民のための区画を要望する運動の主体として「YOKOHAMA TUG CULTURE CLUB」(略称:YTUG)を現在構想中です。

構想しているメンバーは下記の5人です。

  • 古澤敏文(映像系プロデューサー・まちづくり)
  • 笠原彰二(音楽系プロデューサー・まちづくり)
  • 吉岡紗矢(横浜ボートシアター)
  • 奥本聡(横浜ボートシアター)
  • 松本利洋(横浜ボートシアター)

「みんなの山下埠頭に〇〇があったらイイナ」プロジェクト(略称:みんなプロジェクト)

YTUGの組織化に先立ち行うプロジェクト。山下埠頭再開発への市民の要望を募集し取りまとめ、市や関係機関へ提出するプロジェクトです。(2023年4月に始まり8月で解散予定)

事務局は古澤敏文、笠原彰二、新村繭子、横浜ボートシアター、世話人に野田邦弘氏、中村寛三氏を、呼びかけ人には生命誌研究者の中村桂子氏、社会学者の吉見俊哉氏をお迎えしています。

現在このプロジェクト内の組織づくりを進めており、多くの有志、各分野の専門家が集まりつつあります。

昨年末に船劇場に関するプロジェクトへご賛同いただきました方々のお名前は、現状このプロジェクトへの賛同者名簿に記載させていただいております。

「みんなの山下埠頭に〇〇があったらイイナ」プロジェクトは、横浜市民限定ではなく、広く意見を募集するものです。現在下記のスケジュールで進めております。

3月23日 準備会(当日の模様は4月1日にはFacebookにて報告いたします)

4月22日 第一回意見交換会

5月 第二回意見交換会

6月 第三回意見交換会

7月 第四回意見交換会、意見を取りまとめた冊子を作成

8月 冊子の関係機関へ提出および公開、総括、プロジェクトの解散

第二回目の意見交換会より、一般の方にも広くご参加いただく会にする予定です。

このプロジェクト内で、劇団は一つの提案として船劇場の活用意義、文化的意味を訴えてまいります。皆様からも是非、船劇場のみならず山下埠頭で実現したらよいと思われることについて、ご意見をお寄せいただけましたら幸いです。

横浜ボートシアターが考える今後のビジョン

船劇場の価値について

劇団員が考える船劇場の価値を、より明瞭に、自信を持って打ち出して行く必要があると考え、劇団Webページにこれまでに書かれた文章をいくつか掲載いたしました。お読みいただけましたら幸いです。

船劇場〜見えないものを出現させる「場」〜

「場の持つ力」 文:遠藤啄郎
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「場」の持つ力 【「均一化してゆく都市や劇場」】 昨年の十二月一日、私は十勝環境ラボラトリー「国際環境大学公開講座」に講師として呼ばれ、“劇場、その「場」の持つ力”のテーマで話...
・「船劇場」の力について 文:吉岡紗矢
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「船劇場」の力について 【中村川の怪しい船劇場】 当劇団は1981年、中村川の木造ダルマ船で、脚本・演出家の遠藤啄郎を中心に旗揚げしました。元々アトムの会という劇団が活動していたところに...
「船劇場」という場のイメージ 文:松本利洋
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「船劇場」という場のイメージ 遠藤啄郎がかつて書いた「餓鬼達の夏芝居」という詩があります。 劇団代表作『小栗判官・照手姫』の台本に載せられているのをはじめ、リブロポートから出た写真集や脚本...
船劇場の価値 文:奥本聡
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船劇場の今後の資金的ビジョン

「みんなの山下埠頭に〇〇があったらイイナ」プロジェクトは、2023年の夏以降に船劇場を山下ふ頭に係留し、今後の仮係留の端緒となるものである。

仮係留をする中で、船劇場の認知を社会的に広めて、価値も広く認識されると考える。

また、今までとは違い、公にできる場所であることから、劇場を活用した資金調達を考えている。

船劇場の稽古場や劇場、イベントスペースとしての貸し出し(すでにTPAM等に貸し出した実績があります)、今回の企画をメセナ認定してもらうことで、企業等からの協賛金募集が主な収入源となる。

本年は4/20締め切りのメセナ協議会のメセナ認定に申請予定である。事業規模は3000万円以内、メセナとして認められる金額は1000万円以内である。予算については現在作成中。

認定結果は、7月中に発表される。

すでに、プロデューサーの古澤敏文氏はいくつかの企業や個人などにもアプローチをしている。

劇団の現在の創作、今後の予定

『新版 小栗判官・照手姫』

11月公演に先立ち、6月12日(月)夜に全編通しての試演会を行うべく、急ピッチで創作を進めています。昨年6月と12月に続く3回目の試演会です。今年3月から立ち稽古に入っており、試演会までにどこまで作り込めるかが勝負だと思っております。

〈『新版 小栗判官・照手姫』試演会〉

6月12日(月)18:30〜21:00(予定)/船劇場/カンパ制/要予約

玉寄長政さんとの企画

昨年発表した『犬』に続き、玉寄さんとの作品づくりを目指し、企画会議を月一回行っています。ギリシャ神話やランボーの詩など、いくつかのアイデアが出され、各自深めているところです。

桑野塾 演じ、語る「をくり」〜小栗判官の世界

第74回桑野塾は「をくり」がテーマで、説経節政大夫師と共に吉岡紗矢が報告者として出演します。吉岡は横浜ボートシアターの『小栗判官・照手姫』の原型となった、遠藤が劇団黒テントで上演した演者3名による小栗の舞台についてと、11月に公演します『新版 小栗判官・照手姫』について語ります。

〈桑野塾 演じ、語る「をくり」〜小栗判官の世界〉

4月15日(土)15:00〜17:00/ZOOMにて開催/参加無料/要予約

詳細(桑野塾WEBページ)

長文をお読みいただきありがとうございました。

船劇場について様々な方のご協力により、皆様へのご報告が追いつかないほど、日々進展しております。

劇団の創作も日々濃く進んでおり、逐一ご報告もできず残念にも思っております。

新しい出会いと展開に怯むことなく行ける所まで力強く進んでみたいと思います。

今後とも何卒よろしくお願いいたします。

またご報告申し上げます。

末尾になりましたが、皆様のご健康を心よりお祈り申し上げます。

横浜ボートシアター
吉岡紗矢/奥本聡/松本利洋