12月語り公演「日本間で聴く樋口一葉・芥川龍之介」稽古日誌(3)

公演タイトルが決定したことに合わせ、「12月語り公演稽古日誌」と銘打っていたこの稽古日誌シリーズを、『12月語り公演「日本間で聴く樋口一葉・芥川龍之介」稽古日誌』と改称いたします。


 

目次

「藪の中」

「役作りは半分以上、言葉を正確に機能させることである」本日の「藪の中」に対する遠藤さんのダメ出しです。

言葉の組み合わせそれ自体に役の性格、状況、意図などが盛り込まれている、よって、気分や感情を乗せたり、それらしいタイプを作ることより以上に大事なのは、言葉を機能させることである、という意味です。遠藤さんの役者に対するダメ出しは総じて、劇作や詩作をする文筆家としての視点が大きいのです。役者も言葉を扱う仕事なのだから、上達するには役者も文章を書く勉強をする方がよいという遠藤さんの考えは、その視点によるものです。

「藪の中」は、人物それぞれの情感を楽しむというより、語っている内容のずれを楽しむ作品なので、ますます言葉を正確に機能させることが重要となります。今回「藪の中」を語る綾香くんは、役の圧倒的な感情の波に観客を巻き込むことを得意とし、それが彼の魅力なのですが、この機会にこれまでと違った言葉への厳密さをもって役作りの仕方を模索・強化中です。

(吉岡)

「にごりえ」

稽古は細かい演出を決める段階に入りつつあります。前回同様実際に演じられていく中で演出を加えていくスタイルは変わりませんでしたが、先週よりもだいぶ指示が多くなってきました。音楽が入る際の微妙なタイミングにも細かくダメだしが入り、着実に完成へと向かっているように感じられます。毎週繰り返し稽古をしていくことで少しずつ変わっていく様はまるでミニマルミュージックのよう。毎週変わっていくのは少しずつですが、それが積み重なっていくと、いつの間にか最初とは大きく違った空気になるはず。今から本番が楽しみです。

(松本)


 

公演詳細はこちらからご覧頂けます。

日本間で聴く樋口一葉・芥川龍之介

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