「月夜のけだもの」の歴史

3月24日〜25日に開催される創作影絵人形芝居「月夜のけだもの」「極楽金魚」。先日「極楽金魚」が様々な形で上演されてきた歴史に触れましたが、今回は新作「月夜のけだもの」の歴史をご紹介いたします。実は、この作品にも別の姿があったのです。


今回影絵で上演する宮澤賢治の『月夜のけだもの』は2006年『賢治讃え』という宮澤賢治作品のオムニバス公演で仮面劇として上演されました。

 

お芝居は仮面パレードから始まります。暗くなった舞台に光が入ると、二羽のカラスがあらわれ、辺りを見回します。人がいないことを確かめるとカラスは動物たちを呼び、ライオン、シロクマ、トラ、馬、鹿、猿、山羊など物語に登場しない動物まで次々と舞台へあらわれるのです。動物たちが大きな円を作って座って待っていると、そこにお月様があらわれ、動物たちを照らし、やがて雲に隠れてしまったかのように舞台から消えてしまい。動物たちもそれぞれの檻の中へ帰ってしまいます。

そして語り手があらわれ、動物園でみた夢の物語『月夜のけだもの』を語り始めます。

何も置かないシンプルな舞台に温かみのある入野智江の音楽、擬人化された動物たちが繰り広げるコミカルな作品です。この作品はその後も劇団内で再演出来ないか検討されていたのですが、影絵人形芝居として再演が決まりました。

この物語の面白いところは、夢の中の動物が皆人間のような格好をしている点です。洋服を着て、マラソンをしたり、弟子入りしたり、お金まで持っています。
これがただの裸の動物でないところがこの物語の重要なポイントだと演出の遠藤は言っています。
動物たちが役割に合った服を着て人間のような社会を築いているのが可笑しく、賢治が作ったそのそれぞれのキャラクターが絶妙なのです。
今回の影絵では、仮面を被った役者の形を参考に人形を作りました。2006年に仮面劇をやったからこそ影絵の人形ができたと遠藤は言っています。

2006年2月
神奈川県立青少年センター 2F多目的プラザ

演出:遠藤啄郎
装置:堀尾幸男
音楽:入野智江
衣装:緒形規矩子
照明:竹内右史

語り手:増田美穂
ライオン:野口英
シロクマ:高橋和久
キツネ:川良潤
タヌキ:志摩明子
サル:富田美行
ゾウ:玉寄長政