『恋に狂ひて』稽古日誌 4月15日(金)

今日は気温が高く、船劇場では夜になってもストーブを点けずに済んだ。

政大夫さんは寝不足で腰が痛いとおっしゃっている。

本日も午前中から何人か特別レッスンを行ってもらっている。

全体稽古の前には、先日聴きに来て下さった「日本間で聴く一葉」の感想とアドバイスを役者一人一人に丁寧にして下さる。

夕方、手作りのカツ丼弁当(トマト味)を開いて、「昼は食べられなかった…」と。

こんなに身を削って教えて下さるのだから、役者はうまくならなくては済むまい。

身の引き締まる思い。

 

遠藤さんは船劇場の客席から舞台の役者に向かってすごく大きないい声で叫んでいて、改めてこれが米寿の人の声かと驚いた。

今日は遠藤さんの新たな演出をいろいろ試した。

新しい道具の寸法を出したり、揺らし方を研究したり、登場を変えたついでに役者に踊らせてみたり…

どんな風に仕上がるか、皆さま、是非お楽しみに!

 

今日の稽古の一コマ。

13か14歳の愛護の若が、拾った恋文というのを手渡され、その詩的表現を興味津々に読み解くシーン。

「ひともとすすきと書かれたは…」

すると遠藤さんが「もっと打ち震えて!」「思春期の年頃の男の子がエッチなラブレターを読んでいるんだから!」

確かに恋文には「乱れ合おう」とか「触らば落ちよ」とか書いてある。

愛護の若のリアルな心境を想像して、皆ニヤニヤしてしまった。

すると愛護の若を演じている柿澤さんが妙に恥ずかしくなったようで「(こっそり読んでるんだから)見ないで!」と叫ぶ。

一方舞台下手からはエッチな恋文を書いた主・継母の雲居の前を演ずる春菜さんが、人形と共にじっと熱いまなざしを若に注いでいる。

それもそのはず、恋文は愛護の若に当てたものだったのです。

愛護の若の激しい動揺は察して余りあるものです…

 

今日はコロスの稽古も充実。

数人で息を合わせたり、動きに合わせたりすると言葉が変な調子にはまってしまう。

景色をまざまざと見せる語りを、との注意。

互いの掛け合いで変化を作れ、とも。

互いの音量にも気を付ける。

声を合わせじっくり丁寧に語った時、今までになくありありと語っている手応えを感じ、春菜さんと吉岡は顔を見合わせ「いいねぇ!」

 

音楽の松本くんは体調不良でお休みだった。

皆、この頃の彼の働きぶりを思って「疲労したんだ…」と心配する。

先日の「日本間で聴く一葉」では三作品の音楽・演奏を担当し、劇団の小公演のチラシ作成は全てやってくれている。

諸々のPV作り、「恋に狂ひて」の仮チラシ作成の他、webでの広報もおおかた担当してくれている。

5月の語り「にごりえ」の音付け、音楽活動の方の曲作りも進めている。

現在成長著しい彼ですが、くれぐれも体を大事にしてほしいと一同願っています。

 

柿澤さんは今日は写真を撮りまくっていた。カメラとスマホが繋がり大喜び。「パパラッチ!」と言ってあちこちに寝転がっている。

新キャストの泉くんは持ち前の細やかさと機敏さとで、慣れないシーンの展開にぴったり付いて来る。さすがです。さぞ神経が疲れることでしょう。

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春菜さんはいい声出てきました。近頃はお子さんも一緒に台詞を言ってくれるとか。時間的制約があればこその高い集中力で臨んでいる様子。

奥本くんは先日の「日本間で聴く一葉」で大きな成長を見せましたが、遠藤さんに「まだまだ!」とハッパをかけられ奮闘してます。何としても奥本くんを育てたい遠藤さんです。

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玉寄さんは新演出により、ますます可笑しなことになっています。玉寄さんは「再演だから自分のお客はいないよ」と言うけれど、玉寄さんを楽しみに観て下さるお客さんは結構いるんです。

垣花さんは途中から参加。笑い転げたり渋い顔をしたり。遠藤さんと共に客観的に見ていただく大事なポジションです。遠藤さんも会うのをいつも楽しみにしています。

演奏の村上さんは今期は初参加。今日は松本くんがいなかったので様子がわからず見学。初演で務めた冒頭の床ドンッの音のみ出してもらう。場の引き締まるいい音に「うまい!」と遠藤さん。

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吉岡は公家の妻役で、夫より大声を出し、立場の強い女に見えると注意を受ける。可愛いしとやかな妻にしっかり化けねば。息も絶え絶えに早死にする場面ではおばあさんみたいと言われる…。うーん、可憐にはかなく死にたいものです。

 

大先輩の方々と共に作り、アドバイスをいただき、年の近い連中が競い合って学ぶって、いい環境だと思います。みんなすごい勢いで成長する予定です!

お楽しみに!

 

記:吉岡紗矢

 

追記

吉岡さんは、先日『日本間で聴く一葉』に来てくださった政大夫さんからアドバイスを貰い、貪欲にスキルアップを目指していました。ちょっとした隙間にも、芝居のことを考える徹底したところを自分も見習わなくてはと感じさせられました。そして、政大夫さんが作ってこられたお弁当に異常なほどの関心を示していたのが印象的でした(お腹がへってたのかな? でも、あのテンションの高さが芝居にも活きてるからきっと大切なことなんだろう)。(奥本)

お弁当箱に合わせてお肉を切ったかと思うほどぴったりサイズの四角い巨大なカツでした!(昼夜二食分のお弁当だとか)。初めて目にする手作りカツ丼弁当、更にトマト味なんて素敵でした。遠藤さんのお料理好きは有名ですが、政大夫さんもお料理が大好きなんです。(吉岡)