「恋に狂ひて」ツアーを楽しむために 徳島編 「確たる伝統芸能の地へ、いざ」

「確たる伝統芸能の地へ、いざ」

 

徳島県には阿波人形浄瑠璃という伝統芸能があります。

江戸時代に淡路から伝わった義太夫節による三人使いの人形芝居で、人形の頭は文楽より少し大きく、広く農村で演じられ、全盛の明治中期頃には県内に70以上の人形座があったとか。戦中までに衰退の一途をたどるも現在は多くの座があり、小中高のクラブ活動でも盛んに取り組まれているといいます。

さて「恋に狂ひて」は人形を使う劇とは言いましても文楽系とは違い、「人形遊び」「立雛」「流し雛」などのアイデアを根本とした劇です。

そもそも雛人形とは、身の穢れを付けて(移して)川に流す、お祓いのための簡素な人形のことだったそうです。その災厄除けの役割と、女の子の人形遊びが結びついて、雛祭りになったのだとか。

「恋に狂ひて」でも、夢中で人形遊びする子供が人形と同化してしまうのと同じように演者と人形の間に魂が宿り、その紙でできた手足の動かない人形が人間の災厄や煩悩を一身に背負い、最期は滝壺に飛び込み流されてゆくという、まるで流し雛のような役割を演じます。

また、人形劇のルーツをイタコ(口寄せの巫女)によるオシラ様(蚕の神様)の人形祀りにまで遡るなら、やはり日本の人形劇には人形に魂を宿らせる「語り手」の存在が欠かせず、人形浄瑠璃もしかり、その点は「恋に狂ひて」も同じです。

古から現代人の心の底に繋がる情念、人間存在を取り巻く世界の神秘などを、人形と共に演じる役者陣の語りと、圧倒的な説経節政大夫の地語りによって舞台に出現させます。

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阿南市文化会館夢ホールは、600席ある劇場。

定員100名ほどの船劇場で仕込んだ「恋に狂ひて」の夢ホール上演にあたっては、見切り席を設け大空間を贅沢に使わせていただきます。

外界と劇場内の境が曖昧な船劇場で鍛えられた、劇場を突き抜けてゆく感覚で大空間に挑みたいと思っております!

夢ホールの企画・運営をされている夢ホール市民協議会夢つくりあなんさんは、西洋クラシック系、邦楽などの音楽企画をよく催されているご様子。

「恋に狂ひて」は説経節政大夫お手製のエレキ三味線に各種の打楽器が絡み、打ち込みの電子音楽も流れる、洋の東西、古典と現代性の入り混じった音楽劇です。

新境地に踏み出している音楽面も、夢ホールの音楽好きのお客様にどのように受け入れられるかとても楽しみです。

徳島と言えば阿波踊り。

あの完璧とも言える振付け、音楽、衣裳には感嘆するばかりです。

「恋に狂ひて」の主人公・愛護の若が生まれ人々が喜び踊る場面で、実は一瞬阿波踊りのような振りが出てきます。本場の方から見たら「え、どこに?」と思われるかもしれませんが…。振付家の森田守恒さんに「ここは阿波踊りのように」と言われたのですが、それらしい感じを出すことすら俄かにできるものではなく、お祭り的賑わいを各自阿波踊りへの憧れを込めて懸命に演じております。

 

伝統に学び現代性を追及する私たちの挑戦を、豊かな芸能を育み、人形劇をこよなく愛する徳島の皆さんに是非ご覧いただきたく、一人でも多くの方のご来場を心よりお待ち申し上げております。

徳島公演

6月28日(日)16:00開演 阿南市文化会館夢ホール

前売 一般3500円 学生2000円