「恋に狂ひて」ツアーを楽しむために 高知編 「古きが今に生きる町」

「古きが今に生きる町」

 

弁天座のある赤岡は絵金の町。

江戸時代末期から明治にかけての絵師、弘瀬金蔵(通称・絵金)の屏風絵23点を所蔵し、毎年7月に絵金祭りを催し、全国からたくさんの人々が、その残酷な芝居絵が町中に飾られ蠟燭の灯りに浮かび上がるのを一目見ようと、赤岡を訪れるといいます。

残酷な絵は魔よけの意味があるという。芝居絵と言っても、舞台の上に実際にあるはずもない血や内臓、死に際の血の気が失せた真っ青な体、妖怪や幽霊なども描かれています。

Byobu Matsuri in Akaoka, 2009
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魔が人の心より出ずるものならば、残酷な運命に翻弄され命を落とす愛護の若の物語「恋に狂ひて」も、人の煩悩を浄化するという祈りを込めた魔よけの悲劇と言えるかもしれません。

古来大道で語られた頃の説経節においても、聴衆は愛護の若の境涯に心を痛め、叶わぬ恋ゆえ龍の姿に変化してしまった哀れな雲居の前に涙し、よりよく生きるための糧にしたに違いないと思われます。

絵金を愛する赤岡の人々に「恋に狂ひて」がどのように受け入れられるかとても楽しみです。

演出の遠藤は元々画家でもあったので以前から絵金に興味を持ち、海外の演劇祭などで展覧会をすれば絶賛されるはずだと常々申しています。

描かれた役者の力強く張りのある飛躍した形など、劇団員も画集ながら目を見張り、影響を受けてきました。

また、遠藤が高松の奉公さん人形の由来話を元に書いた「極楽金魚」の影絵版における人形を制作した竹内英梨奈も絵金に感銘を受け、絵金祭りのえくらべ展に自作の屏風絵を出展し、賞を受けています。

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弁天座公式Webサイトより

明治に赤岡に誕生し後に閉鎖してしまった芝居小屋「弁天座」。

現在のものは平成に入り復刻したものといいます。

まわり舞台、花道、升席などを備えた木造の芝居小屋は、時空を超え中世の物語世界へ観客を誘う「恋に狂ひて」の上演にはうってつけと言えます。

芝居は場の持つ力によって表情を変えるもの。当劇団が拠点の船劇場という場にこだわるのも、場の力を信ずるからこそ。とすれば、タイムスリップしたかのような歌舞伎風の芝居小屋で「恋に狂ひて」がどのような力を得るのかは大きな見所と言えるでしょう。

東京・横浜の劇団支援者の中にも、是非弁天座での作品の変貌を目にしたいと、有難いことに遥々オッカケに来て下さる方々がいます。

また、高知と言えば、今や全国的に広まった「よさこい祭り」発祥の地です。

日本舞踊、盆踊りという伝統的な枠組みから、現代人が楽しむ生きた祭りとして様々な創作を披露する場へと変化してきたよさこい祭り。

説経節という消えかけの伝統芸能に立脚する「恋に狂ひて」も、いかに語るか、いかに劇化するかという現代性を追及した作品です。

よさこい祭りに夢中な若い方も、是非赤岡の弁天座にお越しになり、伝統芸能に根ざしながらも今に生きる物語、単なる悲劇を超えた祈りの祝祭劇「恋に狂ひて」をご覧下さい!

高知公演

6月27日(土)16:00開演 弁天座

前売 一般3500円 学生2000円