「恋に狂ひて」ツアーを楽しむために 京都編

今回の「恋に狂ひて」ツアーをより楽しいものにするために、
上演場所各地と横浜ボートシアターや「恋に狂ひて」に関する情報をお届けいたします。
第一弾は、京都の特集をいたします。

※アイキャッチ写真:古屋均

1200年の歴史を持つ古都・京都、ここはツアーのスタート地点であり、物語の舞台でもあります。
説経・愛護の若は中世に書かれ、中世末期から近世にかけ説経として語られていた作品ですが、
物語は平安時代・嵯峨天皇の御代のこととして書かれています。
嵯峨天皇の御代は比較的平和で文化的にも反映した時代だったそうですが、
作中でも平和な御代で、天皇が宝比べ、子比べをしている様が描かれています
(後にそれが悲劇を生むことになるのですが……)。

「愛護の若」の道行

説経には道行文というのがあります。
「さんせうたゆう」や「をぐり」などの有名な作品にもあり、ことに「をぐり」の道行は質量ともに凄く、
藤沢から熊野までの道行が描かれています。
「愛護の若」にも当然道行があります。四条川原から比叡山への道行で、劇では歌になっているシーンです。

四条川原、三十三間堂、伏見稲荷、竹田、淀、鳥羽、粟田口、山中、大原、静原、芹生、八瀬……

さて、京都の地名に詳しい方なら、おやっと思われたことでしょう。

我々も地図に印をつけてみて驚きました。
比叡山へ行くために、三十三間堂や、伏見稲荷、淀、鳥羽、竹田、大原、静原、芹生……こういったところを通る必要は全くないのです。

編集注
赤いマークが出発点(四条河原)と終点(八瀬)です。語られる順番にその地名を訪れるとなると、かなりあちこちに寄り道していることになります。

ということで、冷静にテキストを読み直してみます。

“三十三間祇園殿、南をはるかにながむれば、稲荷の森とかや、伏見の竹田、淀、鳥羽も見ゆる”

見ゆる・・・・・・・つまり見ゆるだけなのです。
つまり、この道行文には観光案内的な要素も含まれているのかもしれないということです。
当時(中、近世)の京都で有名だった場所をとりあげて、文章にしたのではないかということが考えられます。

さて、この観光地の中でも、三十三間堂は今度の劇場からさほど離れていない場所にあります。
観劇の前に三十三間堂へお参りをするのも良いかもしれません。

余談ではありますが、道行と言えば説経だけでなく、近松門左衛門の「曽根崎心中」も有名です。
劇団代表遠藤啄郎によれば、「曽根崎心中」に書かれているのは死への道行、一方で「をぐり」や「さんせうたゆう」に代表される説経は再生の道行として描かれてるとのことです。「愛護の若」の道行は果たしてどちらの道行なのか……、ご観劇後に是非皆様もお考えになってみて下さい。