コラム――演劇と武術の関係性――第一回

<第一回 演劇と武術>

皆様、奥本聡です。
武術と聴いて、皆さんはどんなことを思い浮かべますか?
柔道、空手、合気道、中国武術、日本の古流武術……様々なイメージが浮かんでくると思います。
最近は以前ほどではありませんが、一時期身体操法ブームがあり武術とは特殊な身体操法だというイメージを
もっていらっしゃる方も少なくないと思います。

さて、身体と言えば演技にも身体表現と分類される演技が存在します。横浜ボートシアターも“語りと身体”というテーマで演技を考えていますね。実は、私は“身体”というテーマを考えるために武術を学習してきました。基礎的なことから数えると、10年程度になるでしょうか? 一番初めは柔道、それから中国武術(戴氏心意拳)、新陰流(江戸柳生)などいくつかの武術を体験していきました(この中でも戴氏心意拳は現在も学習を続けている)。

まず、何故私が“演劇における身体表現”を学ぶために武術の学習を開始したかということを述べます。
それは、非常にシンプルで演劇と武術の関係を知りたかったからです。

また、踊りやその他の身体表現を通じて演劇における身体表現を探すことは、直接的過ぎてなんだか照れ臭かったというか、気恥ずかしさを覚えたのです(当時は素直になれない十代でした)。

さらに、当時、演劇と武術の関係について現代人が直接的に言及しているものが非常に少なかったという印象もあります。
古典や海外の事例で言えば、柳生宗矩は能と新陰流の関係について言及していますし、
中国南方の武術はお祭りにおける伝統芸能と関連があります。また、京劇と長拳に代表される北派武術、南インドのカラリパヤットと南インドの諸芸能の関係も深い。
ですが、現代の日本においてはあまり言及されていない気がするのです。
つまり、なんとなく存在する演劇と武術の関係を一般の人があまり認知していない状況だと思います。
その点を追及することがとても魅力的だったのです。

今年は私が劇団活動に参加して10年年目。そして、継続的に戴氏心意拳を学習しておよそ9年目になるのですが、最近ようやく両者の関係性について、自分なりにまとめることが出来ました。

そして、結論から言えば、武術は身体表現を考えるうえで役立つものであると感じたのです。

これから、数回に分けてそのことについて述べていきます。

奥本聡
1987年広島生まれで、幼少期を兵庫県芦屋市で過ごす。横浜緑ヶ丘高校を経て、慶應義塾大学を卒業。大学在籍中より横浜ボートシアターの活動に参加。戴氏心意拳や日本武術、田楽研究などの学習を通じ、アジア的な身体とは何かを探求している。