抜き稽古4日目

2015年3月23日「恋に狂ひて」稽古日誌

稽古前にみんなでコロコロを使い、パンチをサッと掃除する。
そこへ今回楽師として参加している村上さんが颯爽と現れたので、みんな「あれ?」と思った。
会社員の村上さんは今日は仕事で来られないと言っていたのに。
「エスケープして来ました~」と言って笑っている村上さんに、誰もが躊躇せずに「えらい!」と言う。
会社を首になったら大変だけど、稽古を優先して来てくれたことが皆嬉しいのです!

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今日は、最近細かく作り込んだ場面のおさらい。
まずは清平と六条のいさかいの場面から。
二人がにらみ合う瞬間のタイミングを何度も合わせる。
やり込められた六条はすごすごと退場したかと思うと、すぐ次の場面では息子を引き連れ、激怒して登場する。
年寄りの六条が息を切らして激しているので、優形の息子・義長も高いテンションで応じなければならない。
何度も繰り返される義長の稽古を見て思った。
清平も六条もいさかいの後、怒りや悔しさをそれぞれの家に持ち帰る、
その時の家族の反応が、当事者の怒りにも増して大事なのかも知れないと。
単なる個人同士のいさかいではなく、家の問題、一族の面子に関わる問題だからだ。
義長のテンションが上がって来るに従って、家中がこの大事件で物々しくなっている様が感じらるようになった。
清平の妻の御台所の芝居にも、家としての反応が求められるのだなーと自らを省みる。

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続いて「子くらべ」に負けた清平が妻と、子を授かる最後の望みをかけ、長谷寺詣でする場面。
ここも前回の稽古で、人形の扱い方がずいぶん変わったところ。
初演の動きを遠藤さん自ら「芸が無いな」とつっこみを入れつつ、面白がって新しい動きを作る、今回よくあるパターンです。

このあたりで衣裳の佐々波さん、制作の斎藤さんがいらっしゃいました。
佐々波さんは10~12月に、ルーマニアに研修にゆくことが決まったとのこと、おめでとうございます!
現在のキャリアに甘んずることなく果敢に学び挑戦され、本当に素晴らしいなと思います。
ルーマニアは芸術家の地位が高いので「(あちらで体験した後)日本に帰って来て耐えられますか?」と担当の人に言われたとか。
本当に悲しくなる現実です……
斎藤さんは出身の山形から帰られたその足で駆けつけて下さいました。
だだちゃ豆せんべいのお土産を持って。

稽古は、飛んで清平と後添えである雲居の前との結婚の場面から。
二つの人形が向き合ってぴったりとくっつくと、何だかドキドキしてしまうのは私だけでしょうか……
雲居の前が愛護の若を見初める場面では、蝶と猿の戯れが二人を引き合わせる。
蝶のいたずら心と猿の野性味が増してきて、躍動感あるコミカルな場面になってきた。
猿が蝶に飛び掛る表現として、人形を舞台袖に投げ込み、また投げ返すというアクロバットに挑戦していたが、うまくゆかず没に。残念!

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雲居の前が恋煩いに伏せっている場面では、人形が床に触れないよう、そして動きの数を減らすよう演出が指示。
斎藤さんが「遠藤さんの演出は正しい!」と絶賛。
これらは小さなことだが立ち現れる世界は大きく違うのです。
今回はこんな工夫が随所にあり、表現がより的確になり、各場面の密度が濃くなっている。
当の遠藤さんも「だんだん演出がわかってきたのだ!」ととても楽しそう。

休憩後は振付け部分のおさらい。
音楽の松本くんがバイトを終えて到着し、息つく暇もなく太鼓を打ち鳴らす。
最初の筍踊りは、振りを確認をしながらだったせいか、前回より表現がちょっとやせている。
みんな「うーん、これはいかん」という感じ。
コロスの覆面集団の動きはだいぶ流れが体に入ってきて、各々ポジションとタイミングを心得てきた。

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そして最後は歌稽古。
荘厳なハーモニーをきっちり作れば、振付けとも相まって相当なスケール感が出るはず。
音程も去ることながら、気分を乗せ過ぎるとテンポが遅くなる点も松本くんから厳しく指摘される。
ハモると気持ちが良くて伸ばしたくなっちゃうというのもあります……

さて、次回はいよいよ通し稽古です。
細かく作りこんできた場面を通して観た時どのようなものになるか、特に演出部はドキドキしている様子。
これからは通す中で芝居なり、動きなり、歌や演奏なりをより豊かなものにして行く段階です。
次回はしばらくお休みされていた政大夫さんがいらっしゃいます。
稽古ながら、政太夫さんが驚くくらいの成長を披露したいものです。

稽古後斎藤さんから、6月の「恋に狂ひて」ツアーについて報告あり。
現在岡山と神戸はほぼ決定とのこと。楽しみです!
横で柿澤さんが「神戸牛!神戸牛!」とコールしてましたが、果たしてそんなリッチな旅になるか……
佐々波さんは、ご自身がルーマニアにいる間に「ルーマニアにもおいでよ!」としきりにおっしゃる。行けたらいいですよね~。
斎藤さんも佐々波さんも久しぶりに稽古をご覧になって、「芝居になってきた」とうなづいておられました!

吉岡紗矢(出演/人形・小道具・衣裳製作)