12月20日(土)〜21日(日)に「自在」南軽井沢稲葉邸(最寄:横浜駅)で横浜ボートシアターの語り公演が開催されます。
『藪の中』『にごりえ』というタイプの違った名作に、横浜ボートシアターは一体どんなアプローチを試みるのでしょうか?
『にごりえ』の語りで出演する吉岡紗矢による稽古日誌から、その一端を垣間みることができるかもしれません。
先週より始まった公演に向けての稽古、本日は第二回目でした。
樋口一葉の「にごりえ」に、今日は音楽担当の松本くんが音を付け始めました。
まだ大まかなスケッチの段階ですが、やはり音楽の果たす役割は大きいと感じます。
特に今回は長い作品ですから、全体の流れにメリハリを持たせ、
聴く人が物語を咀嚼できるテンポ感を作るというだけでも、既に大きな力を発揮しています。
芥川龍之介の「藪の中」は、ご存じの通り、七人の人物の独白だけで構成された作品なので、
どのように語れば芥川が書こうとした狙いが伝わるのか、演出家、役者、音楽家
共に頭を悩ませ、方針を模索中です。今日もまた、可能性のある糸口を掴むところまで
行きましたが、なにしろ的確で緻密な作業を膨大に積み重ねて行かねば成立しない見
通しなので、一同腹を括っております。この挑戦は、当事者のみならず、見学する者にす
ら成長をもたらすでしょう。とにかく熱い稽古場です。
「にごりえ」「藪の中」共に、名作とはいえ、聴いたことのないような語りにしよう!と
意気込んでおりますので、皆様どうぞお楽しみに!
今日は稽古の後みんなで、ジャワのガムランと舞踊のグループ「カルティカ&クスモ」の
コンサート「花響VI」に行って参りました。ゲストのジャワガムランの演奏家であるサプ
トノさんは遠藤さんとは30年来のお友達で、久しぶりの再会をお二人とも喜んでおられま
した。劇団関係のメンバーもジャワに行った折にはサプトノさんには大変お世話になってお
ります。あのおおらかな笑顔を拝見するだけでも嬉しくなってしまうのですが、子供のよう
な自由さがあるせいか、人の心を掴んで離さない素晴らしい演奏に、今夜もまた感動し
てしまいました。
同じく遠藤さんのお友達で、サプトノさんの奥様でもある、カルティカ&クスモの代表を
されている田村史子さんが、舞台挨拶で次のような内容のことをおっしゃっていました。
「ジャワの人々は、自分がどこから来てどこへゆくのかを考える。それゆえ自分と周り
の世界との繋がりを思う。ガムランは彼らの日常にあり、彼らはガムランの響きの中で
魂の旅をする」。ジャワガムランを聴くと、魂が抜け出てゆく感じが確かにあるのです
が、それは、彼らにとってもそのための音楽だからなのか!と妙に納得してしまいました。
抜け出た魂の体験は人それぞれ、その時々違うと思いますが、魂を解き放って遊ばせ
ることは、人にとって大事なことに違いありません。舞台に関わる者として、人々のその
ような体験に貢献できる作品を発表してゆきたいと、改めて強く思いました。
サプトノさんと田村史子さんをはじめ、カルティカ&クスモの皆様、ありがとうございまし
た。
吉岡紗矢
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今回は劇団メンバー吉岡紗矢が稽古日誌を書きました。 12月語り公演稽古日誌(2) http://t.co/B3Rvb2Ewes
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